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「んじゃまた」
俺はそう言うと部室の扉を閉めた。
さてと、かなり遅くなっちまったが帰るとしますかね。
☆
「んじゃまた」
そう言って部室を去って行ってしまった柊って人。
名前を貸す?ってことは……。
「由美」
「えぇ」
一応名前だけでも新聞部に入ってくれるってことよね?
……ってあれっ?
「由美」
「えっ?なに?」
「……どうしてそんな含み笑いなの?」
おかしくない?嬉しそうに笑うならまだしもどうしてニヤって笑っているの?まるで柊って人がそう言ってくれるのを待っていたみたいに。
……まさか!!
「さっすが由美!!迫真の演技だったね♪」
すると舞がニカっと笑ってそう言った。
「うん、まぁね」
そう言って由美はクスッと笑った。
……全く気づかなかった。まさか芝居だったなんて。私で気づかなかったくらいなんだから多分柊って人は気づいていないんだと思う。
っていうか由美、今更だけどあなた新聞部よりも演劇部に入った方がよかったんじゃない?あなたなら即戦力じゃないかしら。即戦力っていうのはおかしいかもしれないけど。
「ところで杏」
するとさっきまで笑っていた由美が私に声をかけた。
「少し手伝ってもらってもいい?掲示板に張りたい新聞を明日までに作っておきたいから」
「えぇ、いいわよ」
私は頷いて答えた。
私だって新聞部の一員、それくらいはできるわ。
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