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☆
「ただいま~」
玄関を開け、俺は家の中に入った。
はぁ、疲れた。なんか一週間分の体力を使ったような気がするな。あっ、いや、それはちと言い過ぎか。
俺がそう思いながら靴を脱ごうと床に座るとドタドタと廊下を走る足音が聞こえた。
さぁて、今日も来ましたよ。
「なっつ~、お帰りぃ♪」
もちろん、ブラコンのバカ姉貴がな。俺はその声が聞こえる前に立ち上がり、振りかえって待ち構えた。
そして昨日のようにダイブして……じゃねぇ。今回はダイブせずに突進して来ようとしていやがる。昨日の失敗をここにきて活かそうとしやがった。やなところで頭のまわるバカ姉貴だ。
さて、だからといってなんのこっちゃない。俺のとる行動は毎度のことながら一つしかないからな。
「ふぁぶ!!」
はい、アイアンクローで止めました。そうでもしなかったら姉貴は抱きついて来やがるからな。
「………………」
あれっ?やけに大人しいな。バカ姉貴。どうかしたのか?
気になった俺は手を離してバカ姉貴の顔を見た。
「……なっつ~の愛のムチ~♪」
恍惚(こうこつ)の笑みを浮かべて言うバカ姉貴。
「………………」
それを見た俺は言葉を失ってしまった。やはりというかなんていうか。うん、バカ姉貴は完全に変態に目覚めてしまったようだ。
ん?あれっ?いや、変態なのは昔からか。
うん、昔からだな。
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