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「君はさ、なんで学ぼうとしないの?」 「え…」 急にそんな事を言われたから戸惑ってしまう。 まだ半分も片付けていないのに作業をする手が止まってしまった。 「今日、授業中。上の空だったでしょ?」 「……」 何も言い返せない。やっぱ、教師だ。 いくら一生懸命にやっているふりをしていてもバレてしまうのだろうか。 「…わからないなら、わからないでいいんだ。ただ…わかりもしない内に諦めて。学ぼうとしなかったらそこで終わりだよ。」 先生はそう言うと、私に近づきポンッと頭を軽く撫でてくれた。 立ちすくんだままの私の目をじっと見て、 「相川さんは素直な目をしてるから、もっと伸びるよ」 そう言うと、私から離れて先生がビーカーを片付け始めた。
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