8人が本棚に入れています
本棚に追加
基本的に興味関心のない他人の話には耳をかさない。
数ヶ月前――自分への風当たりが変わった時期――遥香が自分自身を守るために心に決めたことだ。
そのせいかは分からないが、遥香の頭の中に担任教師の言葉はあまり残っておらず、ぎりぎり『一ヶ月』の意味が拾えた程度であった。
『委員会は新入生がクラスに馴染んでから決めるらしい。だから委員会決めは一ヶ月後だそうだ』
そう、担任が話していた記憶がある。
「遥香、お前、何の委員会にするか決めてるか?」
「いや、特には」
「だったら体育委員会に入ろうぜ!」
「体育委員会?」
「そうっ!」
修平が目を輝かせる。
「そこの委員長がめちゃくちゃ美人なんだってよ。髪が長くてサラサラで、おめめパッチリ。噂では“本校歴代美人リスト”に入学と同時に入れられたって話だ」
「へえ……」
「なんだよ、素っ気ないな。まあ、いいや。とにかくおれは体育委員会に入ってその美人さんを近くで鑑賞したいの。そしてあわよくばお近づきになりたいの。分かる? この男の性(さが)」
強く語る修平に遥香は薄く笑った。
最初のコメントを投稿しよう!