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――分からない。
一般の男の性(さが)なんて分からないよ。
遥香にとって美人かどうかなんてことは、どうでもいい。
顔が良い人が知り合いにいることは遥香に何の利益もない。
何の助けにもならない。むしろ敵を増やすだけじゃないだろうか。
助けにならないものなんていらない。
おれが欲しいのは、おれだけを見ておれだけを救ってくれる“助け”だ。
「とにかく、一緒に体育委員会やるぞ」
修平はノリが良く、明るい。クラスの人気者の位置にいる人間だ。
だからこそ、自分のような人と今をこうして過ごせるのだろう、と遥香は思う。
遥香は修平が好きだった。
いや、修平だから遥香も好きになれたのだろう。
出会って一ヶ月。それでも修平は遥香にとって大きな存在になった。
側にいれば、その持ち前の明るさで自分の闇を振り払ってくれそうな気がするのだ。
遥香に男の性(さが)は分からない。
だが、迷うことなく首を縦にふった。
修平と過ごす時間が増えるならどこだっていい。
その明るさに浸っていられるならば、この学校生活は十分幸せだ。
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