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「体育委員会の副委員長がとても良い人なんだ。中学が一緒で、中学時代にあの人の下で委員やってたんだけど楽しかったよ」
何か特別なことでもあったのか、笑顔を絶やさず副委員長について語る木下。
それを見ながら、遥香は少しだけ眉間にシワを寄せた。
だが、それだけだ。
何かあったのか、などとそこから先を追求するほどには、その副委員長に興味を持てなかったのだ。
いくら“良い人”でも、おれの闇を救ってくれるとは限らない。
「とりあえず210番教室へ行こうか」
背を向けながら、たいした返事も返さず遥香はそう切り出した。
遥香にとって、他人に興味を持つのには“救われる”ことが必要不可欠なのだ。
目的の場所に着けば、遥香たち以外の人々はすでに集まっていた。
みな決められた席につき、互いに談笑をして委員会の開始を待っている。
教室で話していた分の遅れがあるとはいえ、ずいぶんと集まりが早い。
これも美人委員長の威力かと遥香はため息をついた。
「一の五は……窓際の方だ」
クラスごと座る場所が書かれている黒板を見て、渡辺が声をだす。
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