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この駅は便利だ。
だけど、使用するのは皆この辺りの住民。
遥香のことを良く思わない嫌な奴ばかり。
それが遥香には耐えられない。
「――っ、遥香!」
ふと、名前を呼ぶ声がした。視線を移せば黒い長い髪を揺らし近づいてくる女がうつる。
「栞(しおり)……」
栞は、悪く言えば遥香のクラスメイト。遥香の事を一番知り、その内容をここまで広めてくれた人だった。
逆に良く言えば、遥香の幼なじみである。そして今でも続いている、遥香の人生最初の彼女だった。
けれど、きっとその位置も今日で変わるにちがいない。
栞の表情を見ればわかる。近づいてくる顔が嫌悪感でいっぱいなのだ。
「別れて」
やはり、と遥香は心でため息をついた。
目の前に立った瞬間にこれ。
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