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「アンタは私を何だと思ってるの?」
「……彼女だ―」
「嘘よ!!」
一段と大きな声が周囲の人々の体を震わし、ホームに響く。
目からは水がこぼれ、ついに頬を濡らし始めた。肩を揺らし続けている。
本気で泣いているのか?
一体どうなっているんだ。泣きたいのはこっちの方だというのに。
“何だと思っているのか”なんて栞の口から言われるとは思っていなかった。
数日の間、自分が何度栞に尋ねようと思ったか分からないそのセリフを、まさか、その本人から問われるとは考えもしない。
しかも嘘泣きかと思えば本当に泣いていて、やっと出した返事も否定されて、遥香は状況が理解できず栞の大声に何も返せなかった。
「私……これでもアンタのこと本気で好きだったのよ……。ずっと、ずっと、例えアンタが冷たい目で見られるような人間であったとしても……」
少しばかり見開かれていた目が何倍にも大きくなった。
何……だって?
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