【アタシとパンドラの箱】

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 学校から家に帰ってすぐにアタシは≪アタシ専用の部屋≫の前に向かった。  それからポケットにある黒みがかっている銀色の鍵を取り出し開錠し魔法円が描かれている部屋に入った。  この部屋には≪パンドラの箱≫や≪禁断の間≫という異称もあるのだが実際はある目的の為の実験研究部屋だった、ある目的とは≪二次元へ行く事≫だ。  なにせ三次元(よのなか)には美形が少なくアタシの御眼鏡に適うのはクラスに一人だけだった。  しかもその一人が昔馴染のオカマちゃんではもうどうしようもない。三次元(よのなか)の美形エンカウント率に呆れて理想郷(ユートピア)に行こうとするのもごく自然の流れなのだ。  初めは空間のゆがみを利用しワープで二次元に行こうとしたが現実の壁にぶち当たってしまった。  次に神隠しを利用して二次元に行けないだろうかと考えて青森県の天狗岳に行ったりもしたが徒労だった。  その後に魔法円を利用した召還を考えたのだ。  アセイミーという黒柄のナイフで直径9フィートの二重円を描き、ふたつの円の間の帯状のスペースに神の御名や天使名を記し、内側に六芒星などの魔術的シンボルを配し、円の周囲に4本のろうそくを立てた。  元々アタシはこういった知識や工程を全く知らなくて三ヶ月を要して昨日ようやく完成させたのだ。
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