縮まらない距離

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  マサは自分がハットトリックを決めたことよりも早く瑠璃に 会いたかった… 自分でもわからない… 体が勝手に動き出していた 「る…瑠璃っ!」 突然呼び止められて瑠璃は ビクッと震え上がった 瑠璃は振り向かず俯いたまま 下駄箱の前で立ち止まった マサは瑠璃が止まったのを 確認して猛ダッシュで 駆け寄った… 「ゼェゼェ…る…瑠璃…」 マサは肩で息をしながら 必死に瑠璃の名前を呼び続けた 「な…なに…?マ…安岡くん…」 瑠璃は絞り出すように 言った…いつも呼んでた マサではなく安岡くんと… 「おまっ…なに…」 マサはいつもと違う瑠璃の 様子に戸惑いを隠せなかった マサはいつしか瑠璃を 名前で呼んでた それにいち早く気づいた瑠璃 心臓がバクバク言ってる 今にも飛び出しそうな 心臓を必死に抑え瑠璃は続けた 「やす…安岡くん…  格好良かったよ…」 瑠璃はそう告げて猛ダッシュで教室へと戻った 一度マサの方を振り向き 俯きながら告げた 「あっ!瑠璃ちゃん待って!」 奏がマサの方を振り向き 一礼して瑠璃を追いかけた 「瑠璃…」 マサはその場で立ち尽くしていた 一瞬見せた瑠璃の笑顔 照れた顔を思い出して にやける顔を隠すために… .
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