縮まらない距離

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  どれくらい経っただろう… さっきまで騒いでいた ギャラリーも試合が終わると 蜘蛛の子を散らすように 部活に家路についていった 遠くから隆介がマサを 呼んでいる マサには聞こえてなかった いや聞きたくなかった まだ瑠璃の照れた笑顔の余韻 にまだ浸っていたかった 「マーサー!!早くこーいー!」 隆介がさっきからもう何百回も繰り返して言っている もうウザかった… マサはチッと軽く舌打ちをしてグラウンドに駆けていった 「なんだよ!フィギュアオタク」 「監督が呼んでる」 「んあ?あぁ…」 マサは隆介のことが気になりつつも監督の元に駆けていった 「監督?」 マサが先に話しかけた 「よー安岡くん君良かったよ  今日の試合」 陽気にタバコをふかしながら 監督は話し出した 「で話ってなんすか?」 「君サッカー部入らない?」 「は?俺そんな気さらさらない  で失礼します」 マサが立ち去ろうとした時 監督がニターと薄気味悪い 笑顔をこちらに向けた ヤニで歯が黄色くなってる のかやけに気持ち悪かった 「君試験受かったの  僕の下でサッカーやらない?  」 なんとも言い難い薄気味悪さ まとわりつくような悪寒が マサを渦巻いていた 「いえ…結構です…  試験とか知らないですから」 隆介が黙っていたから無理もない。試験と分かっていたらマサは試合に出てくれなかっただろうから…… 「そう…残念もったいないよ  実に勿体ないね君の才能」 監督はニターと黄色くなってる歯をマサに向けてサッカーボールをマサに投げてきた それを無言で受け取ったマサ もうサッカーなんてやらないと思ってたのにな… .
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