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「んも…なんで朝からアイツの尻 拭いしなきゃイケないの!?」
綺麗に片付いた教室の
窓側の一番後ろの席の瑠璃
その前の席の奏
二人は中学からの親友
「まあまあ…まったりしよーよ
瑠璃ちゃん」
苺大福を手渡す奏
「それ家の期間限定の苺大福じゃんっ!」
老舗の和菓子屋を経営する
瑠璃の家
新商品はもう見飽きてる
「いいじゃんっ!美味しいんだも ん!」
ぷくっとホッペを膨らまして
食べ始めた奏
「もう~」
渋々食べ始める瑠璃
何度食べても飽きないこの味
「怪力女」
ボソッと聞こえた言葉
和やかなムードが一気に凍りつく…
「あんたね…あたしは瑠璃。いい 加減名前で呼びなさいよね」
隣の席のマサ
机の上に足をのせふんぞり返る
「お前は怪力女で良いんだよ」
せっかくのケンカをぶち壊し
にされて少々ご機嫌斜めな
マサ…ちょっと可愛いかも…
「これでも食って機嫌でも直せよ !美味いから」
手渡したのはあの苺大福
しかもあろうことが瑠璃の食べかけだ
「……サンキュー」
無言で受け取りかじられていない反対側を食べはじめたマサ
その横顔が少しだけ儚げだった
瑠璃とマサとの出会い
それは最悪だったけど
最悪から始まる恋もある
少しずつ二人の距離が
縮まっていく
瑠璃はその儚げな横顔を
眺めていた
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