彼女

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ここでも彼の横には久美が座った。 ヒロくんがニヤニヤしながらあたしの正面に座り 「良いの?アレ。」と茶化してくる。 強がりなあたしは興味なさげに頷いた。 朝のファミレスは空いていて 奇抜な格好をしたあたし達を店員はジロジロと物珍し気に見てくる。 そういえば…彼が静かだ。 いつも場を盛り上げようと喋り倒す彼の声が聞こえない。 変だな。 後ろを振り返って愕然とした。 疲れ切ってしまった彼はテーブルの下で眠りこけている。 あたしが驚いたのはそこではなく 眠っている彼の顔を何枚も写メに残している久美の姿だった。 久美はうっとりしながら誰々に似ているだの 待ち受けにするだの 彼を見つめたりキャアキャア騒いだりしていた。 さすがに 見たくない光景だった。
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