973人が本棚に入れています
本棚に追加
「最後の一つ、早く決めてくれよ」
雄一の最近の口癖。
俺の顔を見る度に言ってる。
…決めたくないのに。
でも雄一は迷惑してる。
だから、俺決めたよ。
「雄一、最後の願い事叶えて」
「やっと決まったか。何? 最後の願い事は」
「さようならのキス」
俺の気持ちを全部込めるから。
だからキスをしたい。
「…合わないな。本当に」
急に引き寄せられて唇に柔らかい感触。
このままずっと…
時間が止まればいいのに…
そっと離されると、寂しさで涙がでた。
「何で最後の願い事がキスなわけ?」
涙を拭いながら雄一は話しかけてきた。
今まで聞いたこともない優しい声で。
最初のコメントを投稿しよう!