第1章 十楓原小学校。 

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「川石君はよく耐えた。 一言も言い返さなかった。 涙もみせなかった。強い子だった…。」 「校長先生、もしかして…」 春海が口を開く。 「ええ。その時、私はあの子のクラスの担任だったの。 でも、あの子がクラスにいたのは、半年だけだったわ。」 俺たちは黙って聞いた。 「川石くんは悪くないの。 ただ、必死に勉強して賞状をもらっただけなの。 少し目立っただけなのよ…。 がんばったんだから、当たり前じゃない。でも…みんなソレをねたんで……。」 「その時、校長に言いました?」 「言ったわ。でも、校長はそれを受け入れなかったのよ…。 それに川石くんはね、母親がいないの。父親は時々しか返ってこれなくてね。毎日一人で泣いてたんじゃないかしら。 いつも、涙の跡をつけてくるのよ…。うう…うっ…」 校長先生は泣きだしてしまった。 俺たちはそれを止めなかった。 しかも、きづけば俺たちも少しづつ涙がでてきた。
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