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「川石君はよく耐えた。
一言も言い返さなかった。
涙もみせなかった。強い子だった…。」
「校長先生、もしかして…」
春海が口を開く。
「ええ。その時、私はあの子のクラスの担任だったの。
でも、あの子がクラスにいたのは、半年だけだったわ。」
俺たちは黙って聞いた。
「川石くんは悪くないの。
ただ、必死に勉強して賞状をもらっただけなの。
少し目立っただけなのよ…。
がんばったんだから、当たり前じゃない。でも…みんなソレをねたんで……。」
「その時、校長に言いました?」
「言ったわ。でも、校長はそれを受け入れなかったのよ…。
それに川石くんはね、母親がいないの。父親は時々しか返ってこれなくてね。毎日一人で泣いてたんじゃないかしら。
いつも、涙の跡をつけてくるのよ…。うう…うっ…」
校長先生は泣きだしてしまった。
俺たちはそれを止めなかった。
しかも、きづけば俺たちも少しづつ涙がでてきた。
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