ゆみの願い

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裕子: 「そうだったの。 辛いこと話させちゃったわね。」 ゆみ: 「いえ。ちゃんと、お話しなくてはならないことです。 でも。 こんな私では、弟さんには相応しくないのでは?」 裕子: (落ち着きを取り戻して、ゆみを真っ直ぐ見つめる) 「あなたは、あなたのまま、ずっと変わらない。 同じあなただった。 今の話をする前も、した後も、同じゆみさんよね。 それに、あの子にはかえって、いいかもしれない。 だって、あの子にも少し、そう、一般的じゃない部分があるのよ。 今度はあたしの方が、ゆみさんに伝えておかなくちゃいけないわね。 あの子、秀一の別の一面を。」 (どう切り出してよいかと、戸惑う) ゆみ: 「(退行)」 「前に一度、3階のお部屋にいらっしゃる弟さんを、お見かけしました。 退行、ではないでしょうか?」 裕子: 「知ってた? 驚いたわよね? 3階のあの部屋ね、昔は、母の部屋だったの。 母自身が、あの部屋で、自分をリセットしていた。 父の束縛は相当なものだったから。」 ゆみ: 「裕子さんは? 裕子さんは、3階のお部屋には、入らないのですか?」
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