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近づくにつれて、新たな疑問が生じてきた。
写真立てに、本来あるべき写真が挟まっていない。
しばらくそれを眺めてから、俺は口を開いた。
『……なんで写真がないんだ?』
その言葉を聞いた春は、かなりの間をおいてようやく答えてくれた。
「……写真はあったよ。でも、捨てちゃったんだ。」
『なんで……っ!?』
振り向いた瞬間、俺は吃驚して、目をみはった。
……春が、泣いていたんだ。
俺は思わず、早歩きでベッドに座っている春に近寄った。
そしてゆっくり隣に座って、春を抱きしめた。
すると春は、声を漏らして泣き出したんだ。
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