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『……なん、で。』
俺は、戸惑いながらも、疑問を口にした。
そんな辛いことを聞くのは、時と場合によっては間違っているかもしれない。
でも、春の全てを知りたい。
そんな欲望が勝ってしまった。
「…………オレは……母親に……抱かれた。」
……聞かないほうが良かったか。
そう思っている俺に、春は全てを教えてくれた。
「……父親が、1年くらい家にいないことがあって……。」
『……うん。』
春の声は、今にも消えそうなほど、小さかった。
「……俺が、父親そっくりな顔で……まだ小学生のときで…………母さん、毎晩1人で寂しそうで……たまに泣いてて……オレ、言ったんだ。」
『…………なにを?』
今にも飛び出しそうな俺の心臓。
これからなにを告げられるのか、とても怖い。
まるで、処刑でもされるみたいだ。
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