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教室、屋上、校庭。
校舎の壁までもが紅く染まるとき。
そいつはいつも教室にいる。
窓際に立って、窓から遠くを眺めている。
入学したてのころ、その姿に一目惚れした。
『春、帰らないのか?』
俺が声をかけると、春は俺の方をみた。
(……絶対、異世界に行ってたよな、今)
そんなことを考えながら、俺は教室に入り、自分の席まで歩いていく。
「……樹はもう帰るの?」
『帰るよ。』
いつもこの時間になってから帰る。
すべては、春と帰るため。
「……じゃあ、オレも帰る。」
そう言って帰り支度をはじめる。
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