生徒×生徒

2/21
前へ
/57ページ
次へ
教室、屋上、校庭。 校舎の壁までもが紅く染まるとき。 そいつはいつも教室にいる。 窓際に立って、窓から遠くを眺めている。 入学したてのころ、その姿に一目惚れした。 『春、帰らないのか?』 俺が声をかけると、春は俺の方をみた。 (……絶対、異世界に行ってたよな、今) そんなことを考えながら、俺は教室に入り、自分の席まで歩いていく。 「……樹はもう帰るの?」 『帰るよ。』 いつもこの時間になってから帰る。 すべては、春と帰るため。 「……じゃあ、オレも帰る。」 そう言って帰り支度をはじめる。  
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

754人が本棚に入れています
本棚に追加