「吾が輩は猫である」

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「吾が輩は猫である」

吾が輩は猫である。名前はまだ無い。 ――無いが故に何者でもない。何者でもないが故に何者にも為り得る。何者にも為り得るが故に何者でもある。 吾が輩は名前が無い。無いが故何人にも吾が輩を捉えることは出来ない。出来ないが故に何人にも吾が輩は存在しない。存在しないが、君達は吾が輩を認識している。吾が輩の言葉を見るからだ。 名前は常に個を示す。個は常に名前に示される。吾が輩が君を名乗れば、君の名前は君を示さず、君は個ではなくなるだろう。君は世から弾かれる。 吾が輩にはそれが可である。 ――あなたはこの場を後にした。 以上、2日目
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