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「24の瞳」
24の瞳
――それはボクを見つめる麗しき眼(まなこ)。清純にして美麗。強く、しかし儚い。
ああ、ボクは何という果報者なんだろうか。ボクは誰もいないボクだけの聖域で、天上の至宝に囲まれている。ボクだけの宝。
手に取って見れば、より一層その美しさが実感出来る。彼女の瞳はまだ取り出したばかりで、その温もりも感じられる。
ボクはこれから彼女の瞳を丁寧に保護して、その美しさを永遠のものにするんだ。ああ、何という至福の一時。究極の悦楽。
それなりに……ああ、何ということだろう。いつまでも彼女の声が止まない。どうしてだろうね。美しい瞳の彼女なら、すぐに静かになってくれると思ったのに。
ボクの聖域には、そう、ボクとボクを見つめる24の瞳だけが必要なんだ。他のものは何だって邪魔なんだ。
ボクはこれから彼女を黙らせに行ってくるよ。瞳の代わりを詰め込んであげたら、きっと彼女も黙ってくれるよね?
――あなたは少しだけ開いていた扉をそっと閉めた。
以上、5日目
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