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俺は隣に座るゆうなを見上げ、これから話すことを考える。
その内容は、もちろん今のおかしな状態のこと。
これまでの状況から判断するに、どうやら俺の誕生日になった瞬間、俺は女になってしまったらしい。
しかも比較的小さいゆうなよりも背が低く、貧しい体型の女に。
名前はあかり、だったか。
もちろん、こんな馬鹿げたことを丸々信じているわけじゃない。
だが、何よりもこれが事実なのだ。
何度見下ろしても体は華奢になっているし。
ゆうなに抱きしめられれば、ゆうなの胸に俺の薄っぺらい胸が押し潰される。
そんな状況の中では、無理にでも信じざるを得ないだろう。
そして、だからこそゆうなに話そうと思ったのだ。
この不可思議極まりない現状を。
「話したいことって、なに?」
俺が黙っていることに痺れを切らしたのだろう。
優しく促すような言葉をゆうなに投げかけられ、俺はゆっくりと頷いた。
そして口を開き、話し出す。
俺はあかりという名前ではなく、あきらだということ。
つい昨日まではれっきとした男であったこと。
そして、誕生日を迎えた瞬間にこうなってしまったこと。
そのすべてをだ。
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