2435人が本棚に入れています
本棚に追加
――彼氏の家にお泊まり。
胸の前に両手を合わせて懇願するゆうなが、つい先ほど発した言葉だ。
……とやかく言うまい。
いや、とやかく言うわけにはいくまい。
彼女は俺の部屋に泊まりたいと言ってきた。
しかも、れっきとした己の意思での言動だ。
上辺では「終電がなくなった」などとのたまってあるが、それは否!
もし、たまたま終電がなくなったなどと言うのであれば、俺はこう返そう。
終電のなくなる時間に来たのはどこのどいつだ! と。
それはそうだろう。
自分の意思で終電のなくなるこの時間にうちへと訪問し、さらには「泊めて」とまで言ってきたのだ。
これを誘っていると思わず、なんと思えばいい。
くそう、粋なことをしてくれるじゃないか、俺のゆうなたん!
まさか誕生日サプライズがここまで及ぶとは、男心を非常にわきまえてらっしゃる。
さらには、翌日……いや、日付的には今日だろう。
今日はゆうなが企画した誕生日デートの当日なのだ。
もしかせずとも、こうしてお泊まりすることさえも、そのデートの一環として組み込まれているに違いない。
ヤバい。そう考えたらめっちゃテンション上がってきた。
今の気持ちを一言で表すならこれしかないだろう。
み な ぎ っ て き た ! !
最初のコメントを投稿しよう!