彼女はレズビアン

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   おお、イチモツよ。死んでしまうとは情けない。  どうしてお前はこんな一大イベントに限って役立たずに……!  いや、役立たずどころではない。  その存在そのものが消失してしまっているのだ。  なんと悲しきかな、我が息子。  ジーパンの上から股間部分に触れても、そこに感じられるのは喪失感という名の愚息の名残のみ。  くそ……これじゃあゆうなとのにゃんにゃんが元の世界に戻るまでお預けになってしまう。  ナデナデを封印されただけでも狂おしいほど苦痛なのに、エッチまで出来ないとなったら、俺はもう……!  落ち込みに落ち込んで膝をつこうとしていた、そのとき、 「あかりっ! ……じゃなかった。あきらっ、どうしたのっ?」  濡れた体にバスタオルを巻いただけのゆうなが、慌てて風呂場から飛び出てきた。  いきなりの登場と、そのあまりに刺激的な姿に、俺は驚いて固まってしまう。  すると、ゆうなは濡れた状態を構う様子もなく、ものすごい勢いで俺のそばまで駆け寄ってきた。  って、谷間がごっつ見えてるんですけどっ。 「どうしたの? いきなり「何とかさん!」って叫び声が聞こえてきたんだけど、平気?」 「え? な、なに? 「なんとかさん」?」  状況が飲み込めず曖昧に聞くと、ゆうなは間髪入れずに頷いた。 「うん。お風呂の中で聞いたからはっきりとは聞こえなかったけど、確かに「なんとかさんがいねえ!」って」  あ……ああ、なるほど。  俺の悲痛の叫び、「マイサンがいねぇぇええ!」の「マイ」が、風呂場にいたゆうなには聞こえなかったのだろう。  ……いや、だからって「なんとかさん」はないと思うけど。  
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