レズの世界へようこそ

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       *  パタンっと扉を後ろ手に閉め、俺は凝り固まった緊張をほぐすように深く息を吐いた。  目の前にあるのは脱衣所の洗面台の鏡と、それに写る「あかり」。  そう、俺は女になり、また彼女も女なのだ。  男として彼女と体を重ねたことはあれど、女としてしたことはない。  もちろん、それは世間一般的に考えれば当たり前のことなのだが。 『じゃ、ベッドの上で待ってるね』  俺が風呂場に向かう最中に言われた言葉だ。  そんなことを妖艶な笑みで言われれば、俺が男だったなら即行で風呂場に向かったことだろう。  または体を洗うことも忘れてベッドに押し倒したかもしれない。  だが、今の俺は「あかり」という女なのだ。  嫌という気持ちはないが、こればっかりは初めての経験なので緊張せざるを得ない。  少しの待望と、多くの不安の気持ちをその小さな胸に抱えながら、俺は脱衣所の中央へと歩いた。  もちろん、今身にまとう衣服を脱ぐためだ。  
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