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いや、まあ女の方から襲ってくるシチュエーションは、それはそれで味があると思うよ?
年上の女性に押し倒されて、その熟練された技術で骨の髄までしゃぶられるようなめくるめく世界。
それに対し、一度ならず魅力を感じたことはあるさ。
でも、それを今から実践だなんて……。
しかも相手はタメであるゆうな。
普段の関係を逆転して行うなど、とてもじゃないが気持ちがついていかないのだ。
そんな気持ちが置いてけぼりの性交など、不安こそ感じれど、興味の類はこれっぽっちも湧かない。
「さて」
俺がゆうなに対して怯えを感じていたせいだろうか。
その俺たちの間に流れていた妙に緊迫した空気を払拭するように、黒の下着を身につけたゆうなはパン、と胸の前で手を叩いた。
「せっかくだし、お風呂でしよっか」
……は、はい?
「はぁぁああっ?」
「だから、あんまり近くで大声出さないでよ。耳痛くなる」
顔をしかめて耳に手を当てるゆうなの仕草を無視して、俺は、俺の肩よりも高みにあるゆうなのそれを揺さぶった。
「お、落ち着けゆうな! 俺はMじゃない! あかりと同じにするな!」
「もう、あきらこそ落ち着いて。それに、あかりだってMじゃなかったよ?」
「……へ?」
あかりがMではない、というゆうなの一言を受け、俺は間の抜けた声を疑問符とともに投げかけた。
Sに近いゆうなの恋人だったあかりのことだから、てっきり相性ピッタリのMだと思っていたのだが……。
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