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九月十一日、水曜日。
もう間もなく日付が変わるというころ。
俺は携帯電話のディスプレイを眺め、まだかな、まだかな、と木曜日に変わる瞬間を待ち望んでいた。
というのも、明日九月十二日こそ俺の誕生日。
彼女のゆうなはなかなかマメな性格で、誕生日になった瞬間、何かしらのお祝いをしてくれると俺は知っていたからだ。
なにせ、ゆうなは隠し事をするのが苦手。
一昨日デートしたときに、これでもかとばかりにしつこく言っていた「誕生日になるまで起きててね」の言葉。
これから考えるに、誕生日なった瞬間、何かしようという目論みは明白だ。
まさか終電のなくなるこの時間に、彼女の家から数駅離れた俺の家に来るはずもない。
だから、おそらくお祝いメールか電話をくれるのだろう。
そう踏んで、俺はじっと携帯電話とにらめっこをしていたのだ。
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