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誰か助けてください。
俺の愛しの彼女は、この世界ではただのどSのようです。
お願いです。
誰でもいいですから、この彼女の皮を被ったどSを成敗してください。
「じゃ、私のことも分かってくれたみたいだし、早速……」
もはや無信仰者である俺がどこぞの神様にでも彼女討伐のお願いをしようとしていたとき。
俺が討伐したいと願っていた彼女は、まるでそのことを忘れさせ、彼女が天使ではないかと錯覚してしまうほどの笑顔を俺に向けながら、俺の右腕をガッチリと掴んだ。
右手首を掴むそれは、万力に匹敵するかのような力で掴み――って、いだだだっ!
「痛い痛いっ!」
「あんまり暴れない方がいいよ? あかりは、本気を出しても私には勝てなかったんだから」
そう妖艶に微笑む彼女が告げるのは、実質の死刑宣告。
その言葉の意味を理解した俺は、自分でもありありと分かるほど全身の血が引いていった。
つまり……逃げられない。
「まっ、待って! たんまたんま!」
「たんまなし」
ニッコリと、本当に嬉しそうに弾ける笑顔とともに言ったそれが最後だった。
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