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俺は、まるで人外の何かに引きずられているのような錯覚を覚えてしまうほど強靭な力で、ずるずると浴室へと連れ込まれていく。
「い、嫌だぁぁあああっ!」
それほど、あかりの体とゆうなには力の差があるのだろう。
段差に足を引っ掛けては外され、取っ手に手を掛けては引っ剥がされる行為を何度か繰り返しながら、俺はそんなことを考えていた。
全身を濡らそうかという勢いで冷や汗がダラダラと流れていく。
片足が浴室への敷居をまたぎ、ほとんど間もなくもう片方も越えた。
そうして、あまり広くない浴室の真ん中に放り出されて、したたかに尻餅をつく。
「ふふふ」
艶やかな笑みをたたえながら、ゆうなは浴室の戸を後ろ手に閉めた。
……お、終わった。
まるで羊を捕まえた狼のように爛々とした瞳で俺を見下すゆうなを見て、そう思った。
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