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ゆうなをなで始めてからどのくらいの時間が経過しただろうか。
しばらくされるがままだったゆうなが、いまだに俺の腹にすがるような形で抱きついたまま目を覚ました。
「ん……?」
おそらく寝起きで、どうしてこんな状態になっているのかが理解できないのだろう。
そんな小首を傾げて小さくあくびをするゆうなに、俺はなでる手を離して
「おはよう、ゆうな」
と声をかけた。
すると、寝ぼけ眼のゆうながこちらを見上げ、
「おはよ、あかり」
「いや、あきらだって」
「あきら……?」
やっぱり寝ぼけているらしい。
寝言で「あかり」と呼ばれ、寝起きでも「あかり」と呼ばれ。
この調子でいくと、ばっちり目が覚めても「あかり」と呼ばれそうだ。
「今は「あきら」なの。分かる?」
「あ……ああ、そっか。今は「あきら」なんだっけ?」
う~ん、と首をひねらせて考えていたゆうなにしびれを切らして声をかけると、ようやく思い出してくれたらしい。
「ごめんね、あきら。改めておはよ」
「うん、おはよう」
謝ってくれたり、あきらとして挨拶しなおしてくれるのはいいけど……。
まだ俺の腹に抱きついたままなんですね、ゆうなさん。
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