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「もしかして、うまくつけられないの?」
「う、うん……」
ブラジャーのホック部分がうまくかからない俺に、軽く上から目線でニヨニヨ笑ってくるゆうな。
軽く言ってしまった手前気恥ずかしいが、出来ないものは出来ないのだと、俺は小さく頷いた。
「ほら、こうするとつけやすいわよ」
ゆうなはそう言うと、俺の胸にあてがわれていたブラジャーを俺の首元にまでたくし上げる。
何をするのかと思って黙って見ていると、さらにゆうなはブラジャーを回し、背中のホック部分を俺の正面に持ってきた。
「はじめに前で留めて、それから胸に合わして下ろすの」
俺の眼下でブラジャーのホックがゆうなの細く白い指によって留められ、もう一度くるりと回し、元のようにパッド部分が前にくる。
そしてそれを少し胴の方に下ろし、薄い膨らみしか持たない俺の胸がパッドの中に納められていった。
なるほど、この方法なら後ろ手に留め金をつけずに済むし、何より楽そうだ。
俺には思い付かなかった発想に感心していると、
「このやり方覚えておくといいよ。お腹の方で留めてから着ける方法もあるけど。あかりは不器用で後ろで留められなかったからね、どうせあきらも不器用なんでしょ?」
どうせってなんすか、どうせって。
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