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「行こうか」
「うんっ」
そう言って並んで歩き出す。
修真さんはカッコ良くて優しくて文句なしの自慢の恋人だけど……不満がある。
付き合って1ヵ月が経ったのに、今だに手すら繋いでいない。
やっぱり男同士だし、見られたら嫌なのかな?
頭では分かっているけど、少し寂しい。
「郁?
元気ないな。
具合でも悪いのか?」
「えっ!?
ううん、何でもないよっ。
何食べようか考えてただけ!」
ぼんやりしながら歩いていたら、修真さんが腰を屈めて僕の顔を覗き込んできた。
慌てる僕に疑うような眼差しを向けるけど、ふぅと息を吐きまた頭を撫でた。
「そっか。
郁の好きな物、何でも食わせてやる」
「うーんっとね…ハンバーグがいい!」
言えないよ…。
付き合ってるだけでも夢みたいなのに、ワガママなんて言えない。
嫌われたくないもん。
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