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ミーンミーンミーン……。
俺は夏の風物詩1つとも言える蝉の鳴き声で目が覚めた。
時計は11時を回っていた。
実のところ昨日の出来事が気になってしまい夜は一睡もできなかった。が、どうやらいつの間にか眠ってしまっていたようだ。
「そうか……。あれもきっと夢だな…」
そう思い身体を起こそうとした瞬間、ベットの中がとても窮屈に感じると同時に自分の身体以外の"何か"がある事に気がついた。
よく考えればこの部屋はどこかおかしい。
クーラーがつけっぱなし。これはわかる。なにせ昨日の夜は暑かった。しかもいつの間にか眠ってしまっていたのだから、消し忘れたと言う事でつじつまが合う。
しかしなぜ自分の身体にはシーツの他に布団が被せてあるのだろう?
たしか昨日はシーツ1枚だけだったはずだ。
「…母さんが被せてくれた…のか?」
そんなはずは無い。
なにせ昨日母親は「今日から2日間出張でいないからね」と言っていたはず。
なら誰が…?その時だった。
何かが布団の中で動いている事に気がついたのは。
恐る恐る布団とシーツを退かしてみる。
すると、そこにいたのはなんと不眠の原因である『結城夏美』張本人ではないか。
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