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「おじさんはすごい勢いで燃えてたんだ。カイロのせいなのかな?」
少年は俺の顔を覗き込んで言った。相変わらずの笑顔。それが恐怖を増幅させる
「そ、そうだな・・・・。はは・・・・・。」
俺は引きつった笑顔で返した
「おじさんはさ、すごく苦しそうな声を出したんだ。そのあとね、熱い熱いって言い出したんだ。僕すっごく嬉しかったよ。寒くなくなったんだなって」
少年は至福の表情で自分の世界に陶酔しているかのようだった。もう俺はこの場に居たくなかった。
しかし少年から逃げることもできなかった。恐怖で足が動かない。
「でもね、僕は少しおバカさんだったの。おじさんの火を消す方法が思いつかなかったんだ」
「そ、そうだよな・・・。で、そのままにしたのか?」
俺は震える声で恐る恐る聞いてみた
少年がまたクスクスと笑い始める
「ううん、ちゃんと消してあげたよ?公園の真ん中に池があったからそこに突き落としてあげたんだ。でもね、おじさん浮かんできたまま動かなかった」
少年がまた高笑いをした。
そう言えば最近身元不明のホームレスが変死体で見つかったというニュースをやっていた。水死体なのに肌が焼きただれていたという話だった。まさか…
もう俺はこの少年を少年とは思えなくなっていた
俺は震える足を立たせて少年に言った
「は、はは・・・。お兄ちゃんもう行っていいか?時間がないんだ」
少年はニコニコと笑顔を振りまいて言ってきた
「うん。いいよ。聞いてくれてありがとう。でもね、僕まだしなくちゃいけないことがあるんだ」
そう言うと少年は立ち上がり俺の目を見つめた
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