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俺たちは街中でやるわけにもいかず、今は使われてない廃倉庫で勝負することになった。いざとなったらこっちにとっても都合がいい
「さて、ウチは3人居るが誰を相手にするんだ?」
兄貴分のヤツが言う。俺の胸ぐらを掴んだスキンヘッドと角刈りのグラサン野郎。選択肢など必要ない。俺は迷わずスキンヘッドを指名した
「ではコイントスで先攻と後攻を決めようか。おい上条、オマエは表と裏どちらにする?」
「ちょっと待てよ。アンタら仲間なんだ。表か裏かの決定は俺にさせてくれないか」
「バカ言っちゃいけねぇよ。どっちを選ぼうが確率は50%だろ?」
どうやら俺に権限はないらしい。上条は表を選んで俺は自動的に裏になった。コイントスの結果は表。だが動体視力が鍛えられた俺には見えていた。コイン2枚を薄く削り、裏と裏をくっつけて両面が表になっているコインが投げられたという事実。
「いいか兄ちゃん、一度に引けるのは三度までだ。そのへんよろしくよ」
どういうことだ。ロシアンルーレットとは交互に1回ずつ引き金を引いていくんじゃなかったのか
そんなことを考えている間に上条は引き金を3回引いた。一気に3回も引いた上条に俺は違和感を感じた。しかし今はまだ違和感の正体には気づけなかった
俺の番。右手に銃を持ち、こめかみに銃口を当てる。さて何回引こうか
「さっさと引けよオラ!ビビっちまったかぁ?」
別に死ぬのなんか怖くねぇよ。人間死ぬ時は死ぬし、ここで引いて死んだらそれまでの人生だったんだからな
「おいおい兄ちゃん早くしないと朝になっちゃうぜぇ?」
上条がさらに煽る。何故こいつはこんなに余裕なのか。自分が死ぬかも知れないのにこの余裕はおかしい。
浮上する疑問。上条は死なないのか?確実に上条が助かる方法があるのか?
俺の頭脳が計算を始める。思考回路が高速で働く。
導き出される1つの答え。
上条がほぼ確実に助かるように仕向けられた罠
俺は引き金を2回引いた
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