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尚樹が手にしたプリントはくっきりと悠児の上履きの靴跡が残っていた。それをジッと見ながら黙っている尚樹に雅史が問いかけた。
「どうしたんだ?尚樹?」
「――これ……入学式のプリントだ……」
「それがどうしたんだ?」
「――入学式って生徒会出なきゃいけないんだよね……」
「あぁ。確かそうだったな!」
尚樹はプリントを雅史の目の前に持っていき、猫の人形で指さした。
「――ここ見て……」
「いや、見たいが尚樹のそのアルタのしめしてる手がでかいから見えないって……ι」
尚樹は納得して自分の指でしめした。ちなみにアルタとは尚樹が持っている猫の人形の名前である。尚樹はプリントを指さしながら言った。
「――入学式って……今日だよ……」
「!!!!?」
雅史は急いで時計を見た。10時に式が始まる予定で、今の時刻は9時51分だった。
雅史は急いで大声で叫んだ。
「早く準備しろ!!?入学式に遅れるぞ!!!?」
その言葉で悠児と吉雪は喧嘩をやめ、急いで体育館に向かった。
「お前らちゃんと体育館シューズ持って来てんのか!?」
雅史は走りながら3人に聞いた。尚樹は体育館シューズが入っている袋を見せた。
「じゃあ悠児と吉雪は!?」
すると悠児と吉雪は堂々と雅史に体育館シューズを見せた。
「――お前ら袋は……?」
「「1年の間になくした」」
2人は声を揃えて答えた。雅史は尚樹と呆れながら言った。
「しょうがないから俺と尚樹の袋に一緒に入れとけ!」
「「は~い!」」
急いでいるのに2人は呑気な返事をした。
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