忘れ物

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小舟の背後からさらに声がした。神田だった。 彼女は力富の国語科教師で、歩き方がペンギンに似ていると自分で言ったのを、力富が馬鹿にしていた。 力富は溜め息をついた。彼は負のオーラに囲まれていた。 吹き抜けの廊下側にもたれた。 不意に、首を掴まれた。 「だれがナマステよ、力富君!」 インド人の国語科教師森澤が、背後から言った。 力富はゾッとした。ここが三階だからだ。 力富、力富君~、力富~。力富は禍根を持つ者に囲まれていたしまった。 「うああぁぁぁ。」 力富は悲鳴をあげた。 その後、力富の姿を見た者は誰一人としていない。
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