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足音を忍ばせて進むと、薄明かりに気付いた。
草むらに隠れて様子をうかがっていると、白装束を着た男だった。頭には蝋燭を二本立て、火が灯っていた。手には木槌を持ち、木には木釘の刺さった藁人形があった。
間違いない。これは丑の刻参りだ、力富はそう思った。
ところで、さっきから気になっている事がある。男に見覚えがあるのだ。
誰だろう、そう思った刹那、男が声を出した。
「力富~よくも~」
力富は男の正体を知った。男は力富の二年の頃の担任、真鍋だった。
「力富~俺をバカにしやがって~」
真鍋は何度も何度も釘を打ち付けた。
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