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「ゆりあさん今度話したいことがあるんだ」
成澤は帰り際つぶやくようにいった。
ドキッ。
不覚にも少しときめいてしまった。
「わかりました。楽しみにしていますね」
私は平静を装いほほえみ返した。
成澤はいつも金曜日のオープン時にワンタイムだけお店にくる。
それはこの1ヶ月続き乱されることはなかった。
指名がかぶらないようにその一時間だけは他の客がこないよう小細工したり、自分のやっていることが矛盾していた。
私は成澤の今の姿を見て復讐を誓ったはずなのに。
思い通り成澤は毎週お店に通いもっとうまくやれば成澤をもっとたくさん店に呼べるはず。
なのにどうして粘らず笑顔で見送ってしまうのだろうか。
不眠気味だった私もここのところよく眠れていた。
次の金曜成澤は現れなかった。
約束をしたのに。
次の週も。
結局二週間姿をあらわさないので心配になり上司に聞いてみた。
「成澤さん最近お見かけしませんがどうかなされたんですか?」
上司はいつものように金曜現われたので帰りぎわに追い掛けて聞いてみた。
「成澤は入院してるんだよ。あいつもいろいろと大変でな」
「入院?どこの病院に?」
上司は成澤に内緒だからと言われたらしいが、本当に心配している私を見て病院を教えてくれた。
成澤。
一体どうしたっていうの?
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