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「ゆりあ誰か待ってるのか?」
仕事中だというのに私は成澤のことで頭がいっぱいだった。
金曜日になると成澤がきてくれるんじゃないかってドアを見つめちゃう。
「ちっちがうよ。ただお客さんたくさんくるなってみてただけ」
「それに最近元気ないみたいだし何かあったんじゃ」さすが常連客。
私の少しの変化も見逃さない。
「ないない。もぅ今日は飲んじゃおうかなぁー」
私は何も考えたくなくていつもよりたくさんお酒を飲んでしまった。
「おっおい。ゆりあ。どーしたんだよ。足フラフラじゃないか。もうそんなんじゃ仕事できないから帰れ!プロとして失格だぞ!今送るから」
客を送った後店に入るとカンカンの主任がいた。
確かに私情を挟むのはプロ失格だけど、でも…
ポロポロ…。
涙が頬を伝う。
「なっどーしたんだよ」
主任は店で泣いたことがない私をみて困惑していた。
「一人で帰れますからッッ」そういって自分の荷物を鷲掴みし店をでた。
一気に走ったせいで酔いが回る。
「タクシー呼んで帰らなきゃ」
クラクラする。
「ゆりあさん」
「えっ?」
これは酔っ払ってしまったから幻影でもみてる?
目の前には成澤が立っていた。
「ずっと待ってたの?」
「この前悪いことしちゃったから」
「別に私はなんともおもってな…」
ドサッ。
私は最後まで言い切れずに成澤には倒れこんでしまった。
「三上…おい。大丈夫か。三上!」
意識が朦朧としている中聞こえたのは成澤が私の本名を叫んでいる声だった。
また幻聴が聞こえる。
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