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私はお手洗いで化粧直しをし次の客に備える。
あんな幼稚園児のいいそうなことすぐに忘れるんだ。
「ゆりあはちょうど客きれたからあそこについて。かなりの団体客。新規10名だからデカイぞ」
店の主任(どの客にどの女の子を接客させるか決める人)が言った。
私がどの客たちなのか見るとなんとさっきのいやらしい声の大きな男がいる団体客だった。
最悪。一番つきたくない。が、客を選べるほど今日は指名客を呼べていない私は渋々団体客の元へ。
「ゆりあでーすッッ!初めまして」
もうやけくそとばかりに営業スマイル。
「おーねぇちゃん、きたきた。ここ座ってよ」
そういって指差したのはあの暗そうな会話がはずまなそうな男の隣だった。
「じゃあ失礼しまぁす」
私がそいつの隣に座る。
「何お飲みになりますか?」
私がきくと男は静かに口を開く。
「僕はお酒飲めないんで、水で」
「飲めないんですか。じゃあオレンジジュースなんかはどうですか?」
「じゃあそれで」
キャバクラにはお酒も飲めないのにお店にくる客が大勢いる。
だからソフトドリンクも用意してあるのだ。
もちろん飲めない女の子もいるので。
「こういうところ初めてなんですか?」
「あっはい」
会話が続かないしなんかさっきから落ち着かない様子。
貧乏揺すりとまらないし。
「間違いだったらすみません。もしかしてトイレに行きたいんですか?」
「えっあ……はぃ」
だいぶ待機していたのでトイレに行きづらかったのだろう。
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