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「案内します」
客がトイレに立つときは接客している女の子がトイレまで案内し出口で待機、おしぼりを渡すのだ。
男はそそくさとトイレに入り出てきたときにはスーツのジャケットを脱ぎ腕を捲っていた。
「おしぼりです。上着お預かりしますね。」
ボーイに上着を渡し、振り向いたその時私は目を疑った。
あの暗い男の左腕に深い縫い傷があったのだ。
その傷がひどいから驚いたんじゃない。
この傷には見覚えがあった。
私が小学校の頃に、学校の外で本を読んでいたとき腐った木が近くにあったのに気付かずふざけて男子生徒がその木を蹴って私の方へ倒れてきて。
その時に違う男子生徒が私を助けてくれ代わりにその木の下になってしまった。そして、深い傷をおい縫ったと後日傷をみんなに見せていたっけ。
その時と同じ場所に傷がある。これは偶然?
「おい。成澤きれいなねーちゃんに見とれてないで早くこっちへこい!」
なっ成澤ですって!!
じゃあこいつが、この暗い男があの成澤清志(なりさわきよし)だって言うの!
傷も名前も同じ。
間違いない!!
こいつが小学校の時、私をいじめていた主犯の男だ。
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