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長寿を全するが是か
短命に抗するが非か
その問いに 答えは無いのだろう
†夢幻輪廻
『Lが死んだ』
そう聞かされたのは、ほんの数刻前。
メロと一緒に呼ばれて、宣告されたのは死よりも苦しいその言葉。
其所から先は何を言っているのかすら覚えて無くて、気が付けば自室に居た状態だった。
「…最期くらい、嘘吐かないでいいじゃないですか…」
帰って来ると、確かに彼は約束した。
元々9割方の言葉がでたらめな彼だが、あの時の言葉は、彼の短い一生の中でも貴重な1割にあたる真実だった様な気がする。
「貴方は…最期に何を想ったんですか…」
自分は愚か、誰一人として解らない事
幼い頃からココで育ち親の無い中で、Lと呼ばれる一人の人間は、その生涯を終える際に何を想ったのだろう。
そして、その死が、彼にとってどんなモノだったのか
恋し人の残り香に縋り求める様に、自身の額に手を伸ばす。
三週間前触れた温もりはもう、触れる事すら赦されない。
改めてそれを知らしめられた感覚に陥って、無意識に溢れた雫がバラバラのパズルに堕ちて弾けた。
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