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夜の暗闇を町の明かりが昼にしてくれる。
そんな中を、少しよれたスーツを着た女性が、疲れた顔をして歩いていた。
｢まーたこんな時間か｣
思わず口から出た言葉。
無意識だった。
彼女が言葉を発する直前に目を落とした腕に付いているアナログの時計は、短針が11と12の間を、長針は６と７の間を指していた。
ため息を吐きながら、うなだれる。
直後、彼女は後ろから声を掛けられた。
｢ねぇ、何してんの？｣
彼女は肩に手を置かれ、振り向くと見知らぬ男が笑顔で立っていた。
これもまたか。
心の中でぼやく。
彼女はその男を無視して、前に向き直り再び歩き出した。
ナンパなんかしてる暇があるなら働けよ。
また心の中で、毒づいた。
男は追って来ない。
あっさりした男だ。
まぁしつこくなくてよかった。
明日早朝会議があったな。
何時からだったかな。
まぁ少し早めに行けばいいか。
また無意識に腕時計に目を落とす。
さっきより５分ほど経っていた。
疲れた…。
早く帰ってお風呂浸かって、疲れを癒したい。
そんな事を一瞬で考えていると、何処からか疲れを癒してくれそうなほどの、甘い甘い香りが彼女の鼻をくすぐった。
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