天使の真実

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天使の真実

そして…その恐ろしい事件があった日から数週間が過ぎた。 「テメェまたミントンなんぞしやがって!!」 「ぎゃぁぁっ!すみません!!」 彼はいつも道理の彼(地味)だった… デジャブの様なその光景。 副長に殴られてボロボロの彼は、あの日の様に部屋に戻って来て言った。 「あ゛ぁ~酷い目にあった…副長ってば手加減なしに殴るんだもんなぁ」 顔を腫らした彼にアタシがナメた口を叩く事は無く、静かにそんな彼を見つめた。 彼はアタシの傍に腰掛けて笑う。 「あ…俺午後から非番なんだけど、どっか行こうよ!」 そうあの日のように…いつもの彼… ―いつものように― ―普通の― ―地味な彼…― 「俺の言う事聞けるよね…? ミケちゃん??」 ―そう…みんなの前では…― 彼に後ろから抱き竦められて、耳元で囁かれると、本能が先に反応する。 《逆らうな》…と。 「うん…行く…」 「良かった!ミケちゃんは良い子だものねww」 そう言うと彼は隊服を脱いで着替え始めた。 着飾ると、とてもカッコイイ彼。 実はとても強い彼。 とても狡猾で頭の良い彼。 とても腹黒い彼。 私しか知らない…非道な彼… ねぇ…逃げられないから逃げないの? 本当に…? いつの間にか外が怖くなった。 彼が居なければ外を歩けなくなった。 彼に飽きなど感じなくなった。 彼に捨てられる事が怖くなった。 何処から何処までが彼の思惑だったのか…? 支度が終わった彼は車を回してくると言って部屋から出て行った。 私も門へ行くために後を追って部屋から出るが、その時駐車場の方から彼が私を見つめていた事に気が付かなかった。  
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