一年の終わり、始まり

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ヤイバの心の中には本人でも気付かないような闇が渦巻いているのだろう。                          取りのぞいてあけたかったが、これは本人しか解決できない問題であり、他人がどうこう口出しできるものではなかった。                    ヤイバの時折見せる苦しそうな表情、無意識のうちに周りを拒絶しているのではないだろうか、知っているか知らないでいるかは自分には分からない。                      何よりも彼は今まで心から楽しんだことは一度だってないだろう。               大事に思っていた者が消えたショックからか、馴染めない環境の中にいるためかは分からない。                 しかし楽しいと思ったことはないというのはあることから分かっていた。                           ヤイバは笑ったことがないのだ。               確かに彼にとっては笑えない状況だろう、何度か似たようなことがあったが、それも全て顔を歪めていたといった方が適切だろう。
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