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会社を辞めてからも章広はそれまでと変わらずわたしを思い遣ってくれた。 生活が変わることで二人のバランスまでもが変わってしまうことを不安にも感じていたが、そんな心配などまるで無用だったかのように、章広は優しかった。 変わらず、優しかった。   優しさ、というものを他にどう言って表せばいいのか、それ以外の言葉を章広に当てはめることができなかった。 優しさ、その言葉自体が章広と同じ形をしているようにさえ見えた。
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