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雑貨屋で、丸い小さな陶器の鉢植えと、園芸用の土と、バラの花用の肥料を買った。 肥料は幾種か並んであったが、章広が何の種類の花なのか、その花が何に属しているのかが分からなかったので、わたしは自分の好きな花の種類を選んだ。 バラは一番好きな花だった。 妖艶で、魅力的な美しさを放ちながら、触れることのできない花。 章広は少しだけバラの花に形が似ている。あの時ほんの一瞬だけ、そう思った。   部屋に戻って、買って来た手荷物を置くよりも先に、わたしは章広の下へ行った。 キッチンの窓から燦々と射し込む太陽の光を浴びて、章広はさっきよりも幾分活き活きしているように見えた。
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