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まだ目覚め切らない頭をもたせつつゆっくりとベッドから体を起こし、キッチンへ行って、ガラスのコップへ水を張った。 わたしは、その中へそうっと章広を入れてやった。 章広は、少し喜んでいるように見えた。 それは本当に、見えた、程度のものだったけれど。   章広の入った小さなガラスのコップをキッチンの日当たりの良い窓辺に置いて、もう一度、章広、と呼びかけてみた。 章広は、何も答えなかった。 当然だ。花、なのだから。
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