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章広と付き合うことになってからも、章広は変わらぬ厳しさでわたしに指導を施してくれた。 わたしにはそれが特別のように思えて、章広の下で不出来な自分さえも愛しく感じていた。 二人きりになると章広は更に優しかった。 わたしを愛することだけに心を向けてくれているようで、わたしは章広の傍にいるだけで、いつだって自分が愛されている幸福感に身を委ねていられた。 自分だけが世界中でただ一人“特別”なのだと感じていられた。 章広は、そんなふうにわたしを愛してくれた。
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